まちの仲間が集まる三島市のサードプレイスを紹介します!

秋元亮彦:Via701

ものづくりが好きな人が集まり、文化や芸術でつながる 三島の交流拠点を造りたい

新生Via701をものづくりを軸にした交流拠点に

Via701は、ものづくりを軸とした交流の拠点です。この建物は、20年以上前に三島広小路にあった3つの商店街と三島市が共同で作ったコミュニティホールでした。しかし時代の変化によって、開設当初と同じ形では使われなくなりつつあったときに、縁があってこちらの運営を引き継ぐことになったんです。私ども、実は母体は建設会社でもあるので、その立場でここで何ができるか、悩みました。Via701が建設された当初のコンセプトは「三島市に文化と芸術の香りを」。これはそのまま継承したいと思いました。そこで、何をすれば自分たちが三島市の役に立てるか? と考えました。
三島広小路は、かつての住民は商店をやってる人が中心の商売の町でしたが、今はマンションが建って、新しく三島に来た住民も多くなりました。その住民同士、さらには三島を訪れる関係人口の人たちも含めた人たちが、ものづくりをきっかけにして交流できる施設にしようと考えました。
私の会社(平成建設)は、大工を内部で育成し、250人以上の職人集団を持っています。その中でも、特に感性が高い大工に交代で常駐してもらい、DIYや木工をしに来る方が気軽に相談できるようにもしようというアイディアが出ました。
外観も、それまでの「会館」というイメージから「あれ? あの建物なんだろう」と思ってもらうために、新進気鋭の画家・越智俊介さんに三嶋大明神を中心とした三島の自然や文化を大胆な壁画として描いてもらいました。

14歳が個展を開くギャラリー  毎週通う女性もいる作業場、ものづくりでつながるスペース

1階は「根継商店」という名前で、いくつかのコーナーに分かれています。建築のプロである我々の目利きで選んだ、建築とアート専門の書店、木で作った家具や建築アイテム、木で作ったオリジナル商品などを販売するコーナー、壁際には誰でも作品を展示できるスペース「ショーケース」があります。奥には「まちの作業場」として、大工が常駐し木工やDIYが体験できるスペースがあります。さまざまな工具も利用でき、週に1回ぐらい通ってものづくりをしている女性もいます。材料は、直接購入も注文することもでき、さらには建築現場で余った端材を無料で使えたり、格安で購入することもできます。持ち込みも可能です。
平日は作家さんが金継ぎ教室や絵画教室としても利用、最近では茶道具づくりが得意なスタッフ主催の「マイ茶杓づくり」のワークショップも人気です。これには茶道教室の方々や、口コミで評判を聞いた遠方の方も参加されています。また、それぞれのグループが、別のグループの活動を見て興味を持ち、金継ぎと茶道のグループがつながる……なんていう交流も生まれています。
2階は以前から入っていたレストランには引き続き入っていただいていて、その反対側にはギャラリー701があります。こちらはプロや大人の方はもちろん、特に若い方に、早くからギャラリーで展示する経験をしてもらいたくて、学生は7割引の料金でお貸ししています。作家やアーティストを目指す若者を応援する意味でそうしているんです。10月には14歳のアーティストがここで個展をやるんですよ。

長い視点で「三島のために」なることを続けていきたい

外から「ここ、なんだろう?」と思って入ってこられる方も多いですよ。夏休みにはスプーンやコマ、バードコールやヨーヨーなどを木で作る子ども向けのワークショップを毎週行いました。DIYなんかは、「やってみたいけどマンション暮らしなので場所がない」という方にも人気です。また、「我が家の◯◯のところが調子悪いんだけど、どうすればいいかな」と、家の修理のやり方を大工に相談に来られ、ご自分で直す方もいます。徐々に、ものづくりで人がつながっていっています。
私たちがこのVia701の運営を引き継いだ目的は、地域への貢献。それを私たちにしかできないことでできないかと考えました。そこでこの場を活かし、ものづくりやアート、文化的なものが好きな人が自然と集まるような場所を作ることで、三島の中だけではなく、周辺地域からもわざわざここを目指してくる方が増えて市民とも交流できるのではないか? そうしたら、この商店街、三島の街に新しいにぎわいができるきっかけになるのではないか? と思っているんです。もちろん、会社がやっている以上、まったく利益を考えないわけにはいきませんが、眼の前の利益ではなく、三島の街に貢献することが、長い目で見ていつか会社にも社会にも役立ち、まさに三方よしとなる、そんな思いで運営しています。

【ひとこと】
木工でも、大工へのちょっとした相談でも、ものづくりに興味があったら気軽に立ち寄ってください。気がつけば、ものづくりから新しい交友関係が広がるかもしれません。

【あなたにとって三島はどんな場所?】
私は沼津の人間ですが、三島には文化と歴史の香りを感じますね。それに街を歩けば川のせせらぎに癒やされ、川沿いには木々や花が植えられて、アートの香りも感じます。単なる観光地ではなく、長く滞在して楽しめる場所であると感じますね。

【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】
三嶋大社です。私にとってとても大事な場所で、実は妻にプロポーズしたのも、結婚式を挙げたのも三嶋大社なんです。なんといっても圧倒的な存在感を持っている場所ですし、かの源頼朝も源氏再興を祈願したパワースポットですからね。節目節目には必ずお参りし、恩恵にあやかりたいと思っています。

【サードプレイス利用者へひとこと】
根継商店はものづくりを通じて、ヒト・モノ・コトがつながるサードプレイスそのものです。いろいろなサードプレイスがあるかと思いますが、ものづくりに興味がある人が集まり、つながり、新しい何かが生まれる場所として利用していただければと思います。

秋元亮彦 (あきもと・あきひこ)
Via701館長。根継商店番頭。2023年1月にリニューアルオープンしたVia701を、当初のコンセプトであった「三島の街に文化と芸術の香りを」を継承する形で、時代に合わせどのような形で展開するかを考え、1階を根継商店(木工品販売、建築関係専門の書店、展示スペース、DIYもできるワークスペース)に、2階にギャラリーを設置。ものづくりを軸に、三島市内外の人たちが集まるコミュニティスペースとして誕生させた。平成建設企画部所属。

Via701

411-0855 静岡県三島市本町7-30 (JR三島駅から徒歩12分)
駐車場:なし
OPEN:
1F根継商店 10:00〜17:00 
2Fギャラリー701 10:00〜18:00
定休日:1F 2Fとも火曜日

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