大森章平:Whiskey & co. つくっているのはウイスキーだけじゃない大事なのは三島の関係人口拡大 2024.07.25 Post Share RSS Pin it 水と建物と焼酎特区と三嶋大社一瞬で三島に惚れ込んだ ウイスキーはバーボン一択。学生時代から一緒のバンド仲間に以前から「バーボンばっかり飲んでるんだから、つくったらいいじゃないですか。日本、スコッチスタイルばっかりで、バーボンスタイルのウイスキーつくってるところないし」と言われてました。2020年、共同創業で立ち上げたリノベーションのベンチャー企業の役員を退任し、次は何をしようかと考えていたとき、その仲間の言葉がふと浮かんで、そうだ、バーボンつくろうと思ったんです。2021年1月、Whiskey & co.株式会社を創業し、三嶋大社のすぐ近くに蒸留所「Distillery Water Dragon」を立ち上げました。なぜ縁もゆかりもない三島で立ち上げたかというと、紹介された物件を見に三島を訪れたとき「街の中にこんなにきれいな水が流れている!」と衝撃を受けたこと。ウイスキーには良い水が欠かせないけど、三島は富士山の伏流水が豊富です。そして物件が築97年、よくぞ残っていたと感激するような、リノベ心をくすぐられる素晴らしい看板建築だったこと。なんといっても場所が最高のパワースポット、三嶋大社のすぐ近くだったこと。もう、一瞬で三島に惹きつけられました。さらに、三島市が焼酎特区だったことも大きかったです。同じ蒸留酒としてウイスキーの設備を使えるし、ウイスキーは熟成に時間がかかるところを、三島の地産のものを活用してすぐに提供できるプロダクトを作れることは大きなポイントとなりました。 少量限定生産のビジネスモデルがまちづくりとつながった バーボンウイスキーの作り方なんて知らないので、創業までにいろんな蒸留所を訪れました。後発で小資本でのスタートとなるので、まず、少量限定生産で成り立つようなビジネスモデルで成長できるストーリーをつくろうと考えました。蒸留所は人の目に触れるまちなかに立てる。品質にこだわったプロダクトを三島限定で販売しようと考えました。そうすれば買うために三島に来る人も増えて、関係人口づくりにも寄与できます。またウイスキーを樽で熟成させる場所は、三島市内の遊休地、施設を利用することで「ウイスキーが眠る街・三島」という打ち出し方もできます。「このビジネスモデルが形になれば、まちの価値を上げることにもつながる」という意識はありました。 web3を活用 トークン保有者を「デジタル市民」として応援団に さらにそこから取締役の佐藤と議論をし「IT立国エストニアのように、電子国民ならぬ電子市民を形成したらいいんじゃないか」というアイデアに辿り着きました。そこでkey3というトークンを発行して、購入してくれたら市外在住でもウイスキーを購入する権利が付与されたり、蒸留所にあるバーの専用ルームを利用できたり、共創的コミュニティに参加し、ブランドづくりに意見やアイディアを出すことができるという特典をつくりました。少数限定販売での成長ストーリーは、同時に三島のブランド力強化や、関係人口づくりも含んでいる形になってます。またWhiskey&Co.には内外に自慢できる製造チームがいて、日々素晴らしいプロダクトを生み出しています。ウイスキーに先駆けて販売を開始したクラフトジン「Teen Spirts」「On Spring」「Water Dragon Spirits」はいずれも国内外数々のコンペティションで優秀な成績を収め、直近ではイギリスで開催された「The Gin Masters 2024」で3つともマスターメダル(最高位賞)を受賞しています。 三島のコミュニティは心強い仲間 こうやって少しづつ成果を出せている背景の1つには、三島が持つコミュニティの力があるかもしれません。蒸留所の物件を紹介してくれたのは加和太建設の河田社長ですし、観光協会会長の西原さんなど三島をよく知る人たちが次々人を紹介してくれて、三島にすんなり入っていくことができました。さまざまな世代で三島を盛り上げる活動をしている人たちもいっぱいいて、横のつながりもできています。先述の焼酎も昨年から製造を開始してますが、コミュニティのみんなとつくろうという意図で、「芋切りお手伝いで焼酎プレゼント」の企画を立ち上げたら、あっという間に70人ぐらいが手伝いに来てくれました。三島でウイスキーとまちづくりという形のビジネスが成功すれば、他の地方でもできると思うんです。いずれは三島発のビジネスとして、日本各地を盛り上げていきたいですね。 【ひとこと】昨年製造した焼酎「KONOHANA」は、箱根西麓野菜である「三島甘藷」を使った焼酎です。023年末に製造し、2024年の正月に販売して、三嶋大社の初詣のお客様で500本あっという間に売れました。三島ならではのものを皆さん、とても喜んでくれました。2024年末は倍量製造・販売する予定です。ぜひ三島を訪れてください。街の雰囲気と私たちのお酒を味わってください。 【あなたにとって三島はどんな場所?】第一印象は「きれいな水がまちなかを流れている美しい場所」です。本当に驚きました。学生たちがそのきれいな水に足を浸したりしていて、こんな光景がある街があるんだ! と思いました。とにかく水が素晴らしい。ウイスキーづくりには大量の水が必要ですが、その水が富士山から流れてくる雪解け水の湧水だなんて、これ以上ない場所ですね。それから、地方都市でこんなに交通マナーがいい場所、他にないと思います。運転中のストレスがないですね。 【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】「安兵衛」っていうラーメン屋さんがお気に入りです。豚キムチをつまみで頼んでラーメンで〆てます。お母さんが一人でやってるから、ビールは自分で冷蔵庫から出して「もらうよー」って感じで呑んでます。 【サードプレイス利用者へひとこと】三島はすごくオープンな街なので、どこに行っても大丈夫、必ず誰かにつながる場所です。移住者や移住希望者に向けて取り組みしている施設や団体もいっぱいあるので、まずはそういうところに行って三島のオープンさに触れてみてください。 大森章平(おおもり・しょうへい)Whiskey & co.株式会社代表取締役。2001年 株式会社ベンチャー・リンク入社、1000以上の加盟店舗、500以上の加盟企業のコンサルティングに従事。2010年 リノべる株式会社共同創業、副社長として経営に携わる。2021年 Whiskey & co.株式会社創業、2023年より静岡県三島市でウイスキー製造を開始。ウイスキーに先駆けて製造・販売するクラフトジン3種は、いずれも海外含むコンペティションで優勝含む上位の成績を残している。ブランドテーマは「Playful !!!」 Post Share Pin it “日本で一番チャレンジできるまち・三島” からスタートアップが生まれる道筋をつくる 前の記事 コミュニティをつくり、コミュニティをミックスし、設計する 次の記事