私たちはプレイヤーが輝く”ステージ”を提供します
2024年8月、またひとつ三島市に人々が集い、活気ある空間が登場しました。「CoDoUみしま」。
建物の前は鎌倉古道で、戦国時代まで主要な街道として賑わっていたこの道に、再度賑わいを取り戻そうとしています。
仕事が終わったらさよなら、ではない関係を三島で築きたい
三島と深く関わるために何をしてきたか
辰巳
CoDoUみしまはコミュニティスペースでありレンタルスペースで、三島で様々な活動をしている方のイベントなどに活用してもらうために作った空間です。
「キッチン」「ミセ」「コモン」と名付けた3つのパートで構成され、自由に使っていただけます。
私たちは「三島まちなかプロジェクト」の始まりとして、CoDoUの名前の由来ともなった鎌倉古道と駅から南に向かう芝町通りの交差部周辺にCoDoUを開設しました。
私たちは東京の設計事務所(株式会社アール・アイ・エー)です。
会社は三島市内のいくつかの計画に関わっています。
でも仕事だけではなく、街の中に入っていって、プロジェクトが完了する前からつながりを持ち続けるような関わり方をしたいと思っていました。
しかし、東京の会社がいきなり今まで縁がなかった街のまちづくりに関わるなんて無理だし、何ができるのかも分からない。
そこで、すでに三島でまちづくりに関する動きをしている人や組織とつながりたいと思い、最初に扉を叩いたのが加和太建設とNPO法人みしまびとでした。
加和太建設では河田社長と話して、河田さんもまちなか(三島駅〜三島広小路駅〜三嶋大社を繋いだエリア)の活性化に取り組んでいたので「一緒になにかやれることがあったらいいね」と話し合って、加和太の「まちなか事業室」といっしょに今のCoDoU近くのおでん屋さんの2階にオフィスをシェアすることになりました。
みしまびとは、最初上司が挨拶に行ったんですが「よくわからない東京の設計会社が来た!」という感じで警戒されたような雰囲気がありましたが、私がプロジェクトの担当として通うようになってから、徐々に距離が縮まっていきました。
私は、三島にいるときは毎日のようにみらけん(みしまびとの拠点。みしま未来研究所)でクラフトビールを飲んでいましたね。
いつも白いTシャツを着るようにして「なんかあの白ティーの人、いつもいるよね??」みたいな感じで、認知されていき、仕事の話はたいしてせずに、ビール飲みながら地域に溶け込んでいったような気がします。
警戒心を解くためにやってたわけじゃないですよ?ただ、クラフトビールを飲みたかっただけです(笑)
そんなことを繰り返していくうちに、だんだん、みらけんの山本希さんやみしまびとの人たちとコミュニケーションが取れるようになって、イベントを手伝ったりするようになりました。
小塚
私もその頃には三島に深く関わるようになっていました。
2023年当時みしまびとが主催していた「みしま朝フェス」のレイアウトデザインや鎌倉古道をのれんや灯りでつなぐ試みを行ったり、まちなか部分の立体模型地図を作って、そこに来訪者がお気に入りの場所を書き込んで旗を立てるという参加型の仕組みを作ったりしましたね。
そのあと、2025年には10周年記念イベント「Cheers! MISHIMA」で空間デザインを行いました。
そのなかで、だんだんと「三島で一緒に何かをやる」仲間が増えていきました。
辰巳
三島と関わるようになってすぐに、自分たちの拠点が欲しいと思って場所を探していました。
そして加和太さんの紹介で出会ったのが今のCoDoUです。
元は飲食店でした。
直近は和食の料理屋さんで、その前はうなぎ屋さんだったそうで、だから厨房はしっかりしたものが残ってました。
2023年7月にみらけんで開催された「みしま朝フェス」に合わせて、建物を先行して2日だけ貸していただき、どんな場所になったら使いたいかを地域の皆さんと一緒に考えるオープンハウスを実施しました。
また、ゲストハウスgiwaの山森さん(三島満願芸術祭の実行委員長)がアートスペースとしてまちに開いていく空家を探していたので、同じように相談して、11月には満願芸術祭のアート展示場所として使われました。(CoDoUは2024年の芸術祭では総合案内所となりました。)。
7月のオープンハウスや11月の芸術祭ではたくさんの人が来てくれたんで、ここに人が集まって面白いことをやるっていうのはアリだなと感触がつかめたので、リノベーションして人が集まる場にしよう、地域に開かれた場所にしようと思いました。
三島のプレイヤーたちと相談してCoDoUのフレームを決めていった
小塚
人が集まり、いろいろな使い方をするには居抜きのままでは難しかったので、我々が設計をし、リノベーションを行いました。
設計の過程においては、三島のまちづくりや、それこそサードプレイス的な活動をされている方たちに加わってもらって「ここをどんなスペースにしていくのがいいか」を議論しました。
ちょうどこの頃、このHP(三島市サードプレイス)に載っているような、三島でユニークな活動をしている人が集まり始めている時期だったんです。
そういう人たちに使ってもらえる施設がいいなと考えました。
いわば、プレイヤーを輝かせるステージを作ろうと考えたんです。
演劇になぞらえると、CoDoUが舞台装置もサポートスタッフも揃えたステージで、プレイヤーがステージに立つことでファンやお客さんが来る、そんなことをイメージしました。
そのコンセプトに沿ってリノベーションを行いました。
まず鎌倉古道に面した入口周辺をどういう顔に作り変えるか。
以前の建物は内部が見えない造りだったので、外から内部が見えるようにガラスにして、さらにフルオープンにして開け放つこともできるように改装しました。
キッチンはもともとこの位置にあったんですが、カウンターに座った人が外からも見えるように少し斜めにしています。
ファサード(建物の正面から見た外観。
その建物の「顔」となる部分)含め、開かれた場所にするための工夫をしています。
また、天井の格子ルーバー(細長い羽板を間隔を開けて並べたもの)を斜めの角度にして、外から中に目線を引き込むという工夫をしています。
これは、建物自体が奥に細長い作りで、かつクランクしています。
以前は奥の方と手前側の空間がつながっている感じがなかったので、斜めの線でつなげることで一体感を作っています。
辰巳
実は施工の際に、資材と工賃の値上がりが激しかったので「これ、本当に必要?なくてもよくない?」という意見も出たんです。でも、「絶対に必要」と小塚さんが譲らなかったので実現しました。できあがってみたら、やっぱりこれがあることで通りから見た空間のつながりは良くなりましたね。
小塚
ほかに工夫したのは、入口すぐにあるボックスですね。
ボックスで区分けされた棚ですが、1つずつのボックスを取り外すことができます。
今このボックスは、レンタルボックスとして貸し出しており、趣味の展示や小商いが出来る仕組みとしているのですが、一部はみしま未来研究所、あひる図書館や加和太建設、6curry & Sauna、Distillery Water Dragon(Whiskey&Co.)などサードプレイスのHPで紹介された人たちなど、共創パートナーの方々のボックスとしています。
この場所からまちへ「飛び出す」ことも考えていたため、イベントではこれらボックスを取り出してCoDoUの外でも活用しています。
みしまびとの10周年記念イベント「Chrees! MISHIMA」では、ほとんどのボックスがイベントに参加したのでここは空っぽになりました。
三島って本当に不思議で、誰もがなにかになれる場所なんですよ。
プレイヤーになれてしまう。
辰巳
小塚さんの奥さんがそうだものね。
小塚
そうですね。
僕らは三島が好きになって、一家で移住してきたんです。
妻は看護師ですが、地域活動などは特にやっていませんでした。
三島に移ってきて、ただ職場と家の往復だけではもったいないよね……と話していたんです。
そこでコミュニティナース(人とつながり、まちを元気にする活動をする看護師)としてやってみてはどうか?と、辰巳が話してくれたら妻がすごくやる気になったんです。
2025年3月からCoDoUで「まちの保健室」を月2回(第二、第四金曜)開設することになりました。
まちの保健室では子育てや妊娠、介護、そのほかなんでも気になることをおしゃべりできるもので、話すことで気持ちが楽になるし、集まってきた人のコミュニティとしても機能するという感じ。
まさに、三島に来てから妻はプレイヤー側になったんです。
コミュニティの基地であり、ここから活躍する人が飛び立つ場所CoDoU
辰巳
CoDoUのトライアル期間のスタートは2024年8月です。
1年間はとにかく使ってもらおうと、さまざまな人・団体にトライアル利用していただきました。
“24年8月から” 25年7月までの間に、100回以上の利用がありました。
内容はさまざまで、一番最初にやったのは三嶋大祭りのときに、美容学校の生徒さんが着付けとヘアメイクの会場として使い、それと併せて店先で地域の人がビールやかき氷を売るというコラボイベントでしたね。
トライアル中の1年間は、まちの保健室はじめ、三島満願芸術祭の総合受付や、三島野菜でボルシチ作りをしたり、taneの岡本さんの三島野菜とワインとアラブ料理を楽しむっていうのもやったかな。
箸を作るワークショップ、日本と台湾の交流会や、結びや川村さん呼びかけの勉強会、OASTBLUEの神田さんの映画上映後の交流会、日大三島高校の探求の授業に使われたりもしましたね。
本当にさまざまです。
「こういうことをやりたい」と相談されたなかに、「ちょっと難しいかな?」と思う内容もありましたけど、基本的に「できない」じゃなくて、どうやったらできるのかを、プレイヤーと一緒に考えていきます。
このことは結構重要かなと思っていますね。
それでもどうしてもここでは難しかったり、ほかにもっといい場所があるときは「giwaでならやれるかも」「みらけんならもっといい形でできるかもよ」など、ほかを紹介したりもします。
三島と関係が深くなったので、そういうこともできるようになったし、それも役割の1つかもと思ったりしますね。
トライアルの1年が終わり、CoDoUの運営主体も株式会社CoDoU(新規に設立)となりました。
プレイヤーの方々にもっと使ってもらって、プレイヤーの力がもっと輝くようなサポートをしていけたらと思いますね。
あとは、今、建物の2階と3階は何にも使ってない状態ですが、いずれ2〜3階もCoDoUとして展開していきたいですね。
どうするかはまだ考え中ですけど。
【あなたにとって三島はどんな場所?】
辰巳
私は東京と三島の二拠点生活のような感じなのですが、東京から近いというのはものすごく大きいと思います。
新幹線で近いだけじゃなく、車でも来やすいですね。
昔から東海道三島宿だからこそ、人が行き交う場所であり、精神的な距離感も昔から近いのかなと思います。
それと、暖かいこと。
気候だけじゃなくて、人があったかい。
近さとあったかさみたいなのがうまい具合に混ざっているのかなというのが、私が個人的に感じる三島の良さですかね。
小塚
三島に一家で移住してきて一番感じるのは、子どもに関わる大人の数が圧倒的に増えたことですね。
越してきたとき上の子は小学校に入るタイミング、下の子は幼稚園で、引っ越す前にいた横浜だと、子どもが接する大人は保育園の先生やママ友ぐらいだけど、三島は街じゅうで子どものことを知ってくれて、関わってくれる。
放っておいても誰かが見てくれる状態で、これは三島の良さだなと思います。
子どもは「大人の友だちがいっぱいできた」って言ってます。子育てするにはすごく良いところです。
【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】
辰巳
みしま未来研究所ですかね!
大人はビール飲んで、子どもはそこらで走り回って楽しめる。
ああいう空間はほかにはなかなかないですよね。
夜12時以降は味彩まるは一択ですね。
9時から締めの寿司が食べられる店で、常に10種類以上の日本酒が並んでて、なくなると次の一升瓶が補充されて種類も入れ替わる。
飲み屋のサードプレイスかもしれない。
それから、広小路界隈では蕎麦ツーフェイスですね。
3時までやってますから、飲んでいる人が最後にたどり着く店です。
小塚
四季を感じられる点がお気に入りですね。
自然の移り変わりだけじゃなくて、文化的にも。
とにかく祭りごとが多くて、夏が近づくとしゃぎりの音がどこからか聞こえるようになって「ああ、もうこんな季節か」と思ったりしますしね。
川沿いを歩いているとカモがコガモを連れて歩いていたりとかね。
【サードプレイス利用者へひとこと】
「こういうことやりたい」と思いつつ、勇気がなかなか出ない人もいるかもしれません。
まあ、とりあえずやってみませんか?やってみたら新しいものが生まれて、CoDoUから今までにないものが街に飛び出していくかもしれません。
ここでの挑戦がうまくいって、ずっとここでやっていくのではなく、いろんなとこに飛び立っていってほしいですね。
ここはそのための基地です。
辰巳寛太
CoDoUみしまオーナー/まち歩き案内人。
株式会社アール・アイ・エー開発企画本部次長、早稲田大学非常勤講師。
一級建築士。RIAで全国のまちづくり計画やデザインに関わる。
品川港南地区の屋外空間を活用するコミュニティ「品川プレイスメイキング部」などでも活動。白いTシャツがトレードマーク。
小塚真太郎
株式会社アール・アイ・エー設計本部室長。
一級建築士。三島と関わり始め、魅力に引き寄せられるように一家で移住。
保育園や小中学校、集合住宅、ホテル、クリニックなど多彩な施設の設計・監理を手掛ける。
三島で思いを込めた家を自らの設計で建築する予定。