ビル内ツリーハウス「林縁-Lien-りあん」は清水エスパルスユースOBが作った交流拠点
三島に賑わいを!交流拠点を作ろうと、ユースOBで相談
私を含む、清水エスパルスユースのOB5人が集まったある夜「俺たちを育ててくれた静岡に恩返しがしたい」と語り合って、それが形になったのが三島大通りのビル4階にある「林縁-Lien-りあん」です。
2024年にオープンしたここは、ビルの中でありながらツリーハウスをイメージした空間。
宿泊施設とカフェコーナーがあり、ほかにも木で工作したユニークな設備(ブランコや洞窟のようなスペースなど)があります。
三島市外の人たちが泊まりに訪れ、カフェを利用する三島の人と交流する拠点にもなっています。
私は静岡市の出身です。
縁があって三島市で起業し、「林縁-Lien-りあん」と同じビルの2階に「ココカラクト」というリハビリに特化したデイサービスも運営しています。
「林縁-Lien-りあん」も「ココカラクト」も、スタートは自分の中にある「運動して健康な身体を作ることを広めたい」という考えとつながっています。
子どもの頃から運動が好きで、サッカーに夢中になり清水エスパルスユースにも入りました。
大学は静岡大学の教育学部保健体育科に進み、教員免許も取得しました。
子どもに運動の大切さを教えたいとも思っていましたが、すぐに教育の世界に入る前に一度社会を見ようと思い、静岡銀行に入社したんです。
銀行で新規事業の仕事に関わる中で「自分が本当にやりたいことはなんだろう?」と考えるようになり、改めて「体を動かすこと、運動に関する何かをやりたい」と思ったんです。
運動そのものもですが、怪我とリハビリについても関わりたかった。
私自身、結構怪我もして、リハビリのお世話にもなっていました。
そこで次のステージを考えていた時に、まさにリハビリでお世話になった病院がスタッフを募集していることを知り、転職したんです。
働く中で、理学療法士個々のスキルに非常に差があることが分かりました。
ここを底上げするような形の何かができないか? と考えたことが「ココカラクト」の設立に関係してきたと思います。
病院のあとにIT系の企業を経て独立、起業したという流れです。
起業した後に共同経営者と突然連絡が取れなくなるなど思いもかけぬトラブルを経験して、軌道に乗せるまで1年半ほどもがきましたね。
やっと落ち着いた頃にエスパルスユースの仲間と会って、雑談をする中で「静岡に恩返しをしたい」という話が出て「林縁-Lien-りあん」開設につながっていきました。
類を見ないビル内ツリーハウス 市外と市内の人が交流できる
集まったのは長沢駿(京都サンガ)と犬飼智也(柏レイソル)、山崎竜男、滝戸諒、私の5人です。
長沢は今も京都サンガで、犬飼は柏レイソルで、現役活躍中。
山崎は林業(木こり)、滝戸は枝豆農家として活躍しています。
そして私は介護リハビリ施設(デイサービス「ココカラクト」)経営者です。
「色んな人が交流できる施設があったらいいよね」「県外から来た人と、静岡の人がワイワイ集まれるような場所が欲しいね」などと話しているうちに、山崎が作っているツリーハウスをどこかに作るのがいいんじゃないかと盛り上がりました。
でも、屋外に作るといろいろ制約があるんです。ちょうど私のデイサービスの入っているビルに空きが出たので「ビルにツリーハウスを作る」という発想で「林縁-Lien-りあん」を作ったんです。
山崎が材木を山から持ってきて、工夫をこらした造作をしてくれて、隠れ家いっぱいの秘密基地みたいな施設ができました。
入口を入ってすぐはカフェスペースがあり、木のはしごを上って入れる洞窟みたいなスペースもあります。
子どもに大人気。いや大人も喜んでますね。
宿泊は一部屋に2段になっているベッドが8つあり、4つは木の洞窟みたいな、個室っぽい造りになっています。
一棟貸し切りなので、三島の他の宿泊所ではなかなかまとまって泊まることができないグループのお客様がいらっしゃいます。
女性のグループ、親子連れ、中には三世代の家族グループもいらっしゃいます。
今は、ランチは休止、バーは完全予約制にしていますが、夜は私の友人が訪ねてきたり、予約して来る地元の人がいたりして、宿泊している方と「明日観光するならここに行ったらいいですよ」とか、サッカー談義で盛り上がったりしています。
ここで出す食事は私が作っています。滝戸くんが提供してくれる枝豆の料理もありますよ。
大人気なのはローストビーフとタンシチュー。
これは、いずれ「ココカラクト」で運動と併せて食の提供をしたいと考えていて、その第1段階として「林縁-Lien-りあん」で料理を出して反応を見る、という下準備にもつながっています。
三島の自然と人が好き もっともっと盛り上げ恩返ししたい
三島は街がとにかくきれいですよね。
あと人があたたかい。
澄んだ水が街の中を流れているし、四季折々の花もある。
出身である静岡市の雰囲気にも似ているとも思いました。
静岡市での起業も検討しましたが、静岡市は観光地とはいい難く、外からやってくる人の多さを考えると三島が適地だと思ったんです。
「林縁-Lien-りあん」を作ったのは、静岡への恩返しの一歩としてですが、同時に三島の“まちなか”、三嶋大社と三島広小路、三島駅を結ぶ三角のエリアを盛り上げて、賑わいを取り戻す手伝いをしたいということもあります。
介護リハビリ施設「ココカラクト」を開業する前、神田輝和さんや加和太建設さんとやりとりしていたことがあって、三島で開業しようと決めた頃、物件を探していて「ここがいいな」と決めた物件がたまたま加和太建設さんの物件だったんですね。
それがこのビルのことですけれど。
ビルで開業すると商店街に入ることにもなるので、物件の担当の方が「あの人に挨拶しにいきましょう」みたいな感じで商店街の色んな方を紹介してくれて、挨拶に回りました。
そうしたら「今度商店街の会議があるから」と声をかけられて、そこから会議に出るようになり、その後の飲み会にも参加するようになり……という感じでつながりが広がっていきました。
そんなこんなで(※注)三島大通り商店街まつり実行委員会ともつながって、大通りの歩行者天国をやったりしてどんどん深く関わるようになったんです。
三島の人々はよそから来た人間も応援してくれる気質がありますね。
(※注)三島大通り商店街まつり:毎年5月5日の「こどもの日」と、11月3日の「文化の日」に開催される、昭和59年から続く恒例のイベント。三島の大通り(大社町西交差点から広小路踏切までの約700m)が歩行者天国となり、ワゴンセール、地元野菜の販売、和太鼓演奏、農兵節やみしまサンバなど、多くのイベントで賑わう。
エスパルスユースのサッカー教室を歩行者天国でやったこともありましたね。
あと、商店街の方から「こんなことやりたいんだけど」と相談されて、一緒に実現を手伝ったり……。
今じゃ、知り合いに会わないで通りを歩くのは難しいぐらいです(笑)。
「林縁-Lien-りあん」はサードプレイスの一形態と言えると思います。同じように人が集い、つながって三島の内と外が大きな輪になっていくような場所を、大通りにあと4軒ぐらい作りたいと構想しています。
私を迎え入れてくれた商店街やまちなかのエリアに人を呼び込んで、知り合った方々とつなげて盛り上げていく、そんな形で三島ともっと深く関わっていけたらと思っています。
また、「ココカラクト」はフランチャイズ化による事業拡大も考えていて、すでに2025年に山梨県甲府市に2店舗目をオープンさせています。
これからは、今の介護施設としての機能のほかにも要素を加えて、医療資格のある人が運動指導や食事療法の指導もしてくれるような形で、未病予防の提供もする。運動や食事を軸にしたサードプレイス的な形にしていけたらと思っています。
もともとデイサービスとしてオープンするときも、宮城県仙台市の「アンダンチ」という子どもも大人も高齢者も動物も一緒に過ごす「衣食住と学びの多世代交流施設」があるんですが、そこをモデルにした施設を作りたいと思っていました。
色んな人が集って交流する場にしたいですね。
【ひとこと】
三島はユニークな人たちが集まってきていて、起業前から「ここなら面白いことができそうだ」という空気を感じていました。
実際、起業してみて色んな方とつながり、助けていただいたり、こちらからもできることをお手伝いしたりして、がんばる人を後押ししてくれる街だなあと感じています。
【あなたにとって三島はどんな場所?】
最初はせせらぎの美しさや、そこで遊んでいる子どもたちの様子に感激していましね。
あと、街の中心部の歩道に花が整備されている美しさもすごいなと思いました。
だんだんに、人の温かさやオープンさに惹かれていった気がします。
【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】
大通り商店街の裏側に、ひっそりとした公園(中央水道跡公園)があって、居心地のいい木のベンチとテーブルなんかも置かれていて、そこに座っていると落ち着くんです。
かつて、富士山の湧水を貯めて水道として周囲の家に水を供給していた水道塔のレトロな感じがまた良くて。
たまに昼ご飯をここで食べたりしていますね。
【サードプレイス利用者へひとこと】
三島の人と出会ったら、ぜひ気軽に声をかけて交流してみてください。
みんな面倒見がいいですから、楽しい会話ができると思いますよ。
【渥美直人 あつみなおと】
株式会社IXcurre代表取締役。静岡市出身。
静岡大学卒業後、静岡銀行で新規事業開発、その後医療法人で経営管理などに携わり、IT企業を経て2022年に「ココカラクト三島本町」を立ち上げ起業。
静岡県人コミュニティ「Proof of Shizuoka」や、BリーグチームVELTEX静岡の協賛企業と静岡の学生をつなげる「VELTEX WAKUWAKU SALON」の設立、運営にも関わる。2024年、自身も所属していた清水エスパルスユースチームのOB4人と共に「林縁-Lien-りあん」を開業。
三島をはじめとする静岡の賑わい創生、交流人口づくりに尽力している。
林縁-Lien-りあん
住所
〒411-0855 静岡県三島市本町12−2 KAWATA BLD 本町Ⅱ 4階
営業日/営業時間(宿泊客以外は要予約)
月曜、火曜、木曜〜土曜 18:00〜21:00(前日までの完全予約制)日・水曜定休
電話 090-9138-9235