※インタビュー当日、メンバーの岩井さんが不在だったため、後日にお聞きした内容を合わせて編集しています。
「就農した理由を教えてください」
岩井
就農した一番の理由は、大きな意味では日本の農業と三島の農地を守りたいからです。
実家は自家用野菜を作っている兼業農家でした。
農業高校へ進学して大学で食物栄養学を学んだのですが、日本の平和を守りたい! という思いが湧いて自衛隊に入隊。
退職後に就農しました。
国防は誰でもできるけど、三島の農地は自分しか守れないと思ったからなんですね。
川崎
家が農家だったので、小さい時から農家になろうと思ってました。
農業高校から九州の農業大学へ行って、卒業後すぐ就農したんですが、高校の恩師に頼まれて、農家やりながら農業高校の講師をしていた時期もありました。
2年半ほど講師をやったあとは専業農家に。
今は両親と僕と妻で家族経営の農家をやってます。
小林
うちはもう分かっているだけで7代続いている農家で、僕の兄(長男)が別の仕事をしているので、僕が跡を継ぐんだろうと思っていました。
だから高校も大学も農業系に進んで、卒業後すぐ就農したんです。
のうみんずの中では、「おなかすいたファームサントムーン柿田川オアシス店」の、のうみんずコーナーに置く野菜の取りまとめをやらせてもらっています。
内藤
家が代々農家なんですが、若い頃は継ぎたくなかった。
でも親の期待もあり、なんとなく、いつかは就農するんだろうと思って農業高校、農業大学へ進みました。
卒業後は三島市の雇用事業で農協に準職員的な立場で就職しました。
事業の終了などいろいろあり、1年後には就農して今に至るという感じです。
前島
家が農家ですがやりたくなくて、東京に出ておしゃれな仕事をしたい! と、出版社に入ったんです。
『装苑』というファッション誌で営業をしてました。
楽しかったんですが「これは一生の仕事だろうか?」とも考えていて。
20代のうちに一生続けられる仕事を見つけようと思っていたんです。
そうしたら農業が目に入りだした。当時、『装苑』や『BRUTUS』で農業を取り上げたりもしてたんです。
そういう情報が目に入ってくるようになって、改めて見直してみると「三島って農業が盛んだな。農業なら一生の仕事にできるかも」という認識が生まれました。
それで就農したんです。
のうみんずでは8月まで代表をしていました。
(結成当初から)10年間やったので、じゃあ交代しようかって、宮澤くんにお任せしました。
今はのうみんずでやっているいろんな企画の窓口になっています。
mishima vege marcheとか、市内の飲食店に僕らの野菜を使った限定メニューを作ってもらったりとか。
宮澤
8月から前島さんの後を継いで代表をやっています。
僕の実家は農家でしたが、若い頃は継ぐつもりがなくて、大学出たあとはバイク屋で販売の仕事をしていました。
ところが大事故でリハビリに時間がかかる大怪我をしてしまい、実家に戻ったんです。
療養しながら実家の農業を手伝うようになって、やり始めたら面白くなっちゃったんですね。
それで、気が付いたら15年ぐらい経っちゃった。
(順不同・敬称略)
栽培法検証も、生産品PRも、6人いるからできる
「農家は単体でも商売ができそうですが、のうみんずというグループであることでどんなメリットがあるのでしょうか。」
宮澤
一緒にやるメリットは大きいです。
たとえば「ミニ白菜作ってみようと思う」と思ったとして、一農家で作って収穫して、売り先を開拓して……というのは大変だし、一人だと生産量も限られる。
新しい野菜だと、一人で売り出しても認知されるのに時間もかかる。
そういうときにみんなで作ると量もたくさん出せるので、農協も売り出しやすくなります。
それに新しい野菜は栽培の失敗もつきものですが、一人だと安定して収穫できるまで3〜4年かかります。
でも6人だと6通りのパターンが1年で集まる、経験値が6倍になって、うまく行かなかったときもみんなで話し合うと原因を突き止めやすいんです。
「こうやればうまく育つんだ」と、安定するまでの期間も短くなる。
川崎
ロメインレタスにしても、種類がたくさんあるんですよ。
それを6人で別々の品種を同じ時期に作れば、どの品種が一番気候に合っているか、テストもできます。
僕ら、最初の年はロメインレタス全滅させたんです。
みんなで圃場を見に行ってね「あと3日で収穫できるね」と言ってたその3日後に全滅。
というのは、抽台(ちゅうだい)といって、花芽が出る関係でねじれる特徴があるんですが、出荷しようと思ったら全部ねじれてしまったんです。
真っ直ぐじゃないと出荷できないので、全滅。
この失敗も一人だったら問題は品種なのか、水なのか、病気なのか、確かめるまで何年もかかります。
でも6人いれば「この品種はねじれるけどこっちの品種は大丈夫だ」といった情報交換ができます。
ロメインレタスはもう8年ぐらい作ってますが、メイン品種になれたのも協力し合っての賜物かと思います。
宮澤
全員、畑の標高が違うんですよ。僕のところは350mぐらいの一番標高高いところ。
だから気温が低いです。
栽培品目によってはうちでは大丈夫でも標高150mぐらいの川崎さんのところはだめになってるとかね、そうやって照らし合わせると種まいた日を計算していって、気温が問題かな、あるいは別の問題かな……という結論を導き出せる。
1年目でもある程度分かるんですよ。
岩井
あとは、ブランディングしていくうえで、個人では限界があってもグループだと農協からの後押しももらえるっていうメリットもありますね。
SNSなども使い三島の野菜の魅力を発信
「のうみんずは生産者だけど、PR活動にもすごく熱心ですよね。新しい野菜を始めると、その食べ方まで伝えようとしている。人が集まる場を作っていますよね。」
前島
僕らが「美味しいですよ」というだけではなく、第三者、それも食のプロが言ってくださることで説得力が増すと思っています。
毎月最終日曜日に開催しているmishima vege marcheや、飲食店に僕らの野菜で限定メニューを作ってもらってお店で出してもらう(「のうみんずの食べようWEEK)という)コラボ企画をやったりしています。
飲食店コラボは、年によって違いますが、だいたい20〜30店舗で年5回、やっています。
ベジマルシェはカフェバーオーシャンのオーナーと一緒にやっていて、その方も「三島の野菜は美味しいから発信しよう」と、Instagramで野菜のことを発信してくれています。
そういうところから徐々にのうみんずの野菜のファンも増えてきて、野菜が売れるようにもなってきました。
宮澤
ロメインレタスも今でこそ三島市の方には結構知られてきていますが、一番最初に出したときは言われましたね、「これ、何?」(笑)
マックスバリュで売り出したとき、僕らも売り場に立たせてもらったんですが、年配の方たちはみんな「これ、何? どうやって食べる?」と聞いてきました。でも今では春になると「ロメインレタスそろそろ時期だよね」と声かけられたりします。
カッコいい農家の姿を見せて、次の世代につなげたい
「グループの目指す姿があるそうですが。」
宮澤
僕らが伝えていきたいのは「カッコいい農家」の姿です。
ご存知のように農家の人口ってどんどん減っているので、若い人たちに興味持ってもらいたいんです。
できれば就農してほしい。
そのためには「農家ってカッコいいんだ」と思ってもらえるようになりたい。
汚い仕事、お年寄りがやっている仕事というイメージをくつがえすために、「農家もおしゃれでカッコよくて楽しいよ」と言っていきたいです。
そのためには消費者の前に出ていくのが一番いいし、野菜だけじゃなくて農業という産業もPRしていこうと思ってます。
川崎
コロナのときに、修学旅行で遠くに行かれない焼津の中学校が、伊豆半島に来ることになって「輝く大人に会いに行こう」というテーマの中で我々に会いに来てくれたんです。
それ以外でも、若い子たちから「のうみんずになりたい」という声が聞こえてきたりしてます。
それから、三島市内の小学校に「のうみんずの日」として給食に使ってもらうよう、ロメインレタスとミニ白菜を提供しています。
学校で食育の授業をやることもありますね。畑からリモートで繋いでやったりもしています。
そうやって、農家の姿を見てもらっています。
「今みなさんが着ているTシャツもですが、パンフレットとかロゴとかがとてもおしゃれですよね。もちろん野菜が美味しいのはあるけれど、伝えるためのツールにも力が入ってますね。」
前島
僕はずっと、消費者の方に野菜の裏にあるストーリーを知ってほしいと思っていました。
店に並んだり、お店で食べてもらうまでにはこんな苦労や取り組みがあって出来上がっているというストーリー。
それを伝えるときに、デザインが足りてないなと感じてました。
販売するときも、野菜のラベルやパッケージをもっといいデザインにしたかったけどなかなかできなかった。
そんなときに岡本雅世さんたち(サルベジー)と出会ったことはとてもよかったです。
僕たちは出荷できない野菜を岡本さんに渡す。
岡本さんは写真やデザインを僕らにくれる。
この交換の仕組みができて、ストーリーを伝えるのも訴求力が高まりました。
ちなみに、サルベジーとの関係は廃棄する野菜を岡本さんたちが販売したことから始まっているので「フードロスに取り組む」みたいに見られることがありますが、そこについては僕らはあまり意識してないです。
農業って、どうしてもロスは出るんです。
災害や気候変動、そのほかの要因で、ロスが出ることも見越して作っているのが実情です。
だからなぜロスが出るか、そのストーリーを知ってもらうことが大切かと思っています。
「消費者の方にとっても、みなさんが伝えたいことを受け取りやすくなったでしょうね。」
前島
そう思います。
みなさんの活動は、場所を作るというサードプレイスではないけれど、ベジマルシェを始めとするさまざまな活動で人が集まって、野菜を軸にして人がつながっていく、それがサードプレイス的な動きですね。
岩井
そうですね、交流の場が広がることで、人同士もつながるし、のうみんずの知名度も上がります。
消費者の方たちと直接会える場はとても大事だと思います。
のうみんずに続く若手グループに期待
「では最後に、これからやっていきたいことをお一人ずつ、お伺いしたいと思います」
内藤
いまメインにしているロメインレタスとミニ白菜以外の作物を手掛けていきたいなと思います。
品種の関係上、どうしても夏場に出せるものが少ないので、情報収集含め、いろいろ動きはあるんですがまだ言えないことも。
あれこれ実験中です。
前島
僕は農家としてのレベルをもっと上げていきたいですね。
栽培技術もそうだし、職人としてもっと上にいきたい。
技術を磨いていきたいですね。
産地の生産量維持は継続していかなきゃいけないし、一方で気象条件も毎年いろいろなので、いかにしっかり安定して野菜を作っていくかという点に一番向き合ってるところなんですよ。
産地を支えられるぐらいの農家になりたいです。
のうみんずもなんとか10年やってきました。
この後の5年10年も続けていきたいですね。
小林
僕はトマト狩りに力を入れてるんです。
観光農園とまでは行かないですが、一般の人を受け入れて、どんどん人を招いて話をしたい。
今、食育にすごく力を入れているんで、例えば植える時期や作り方でトマトも旬が変わることなんて、消費者の方たちは知らないですよね。
たまたま買ったトマトが美味しくなくてもそれはタイミングが悪かっただけで、2ヶ月後にはもっと美味しくなってるんですよとかね、発信していきたいですね。
川崎
僕はチャレンジすることが好きで、今も1つチャレンジを考えています。
農業系ではあるけど、別事業で農業と並行してやっていきたい。
僕は他業種の仲間たちがいっぱいいるんです。
本当に仮の話ですが、収穫体験を旅行のパッケージにしたりとか、県が推している特定の栽培品目のものを扱えないかとか……まだ考え中なのではっきり言えることは少ないですが、大好きな農業と並行して新しいチャレンジをやっていきたい。
宮澤
まず、僕らの後継グループを若手に作ってほしい!
僕ら世代より下の農家って本当に少ないんですよ。
現場から見てるとこの状況は危機的なんで、三島の人じゃなくてもいいから、農業に参入してほしいと思っています。
僕らは僕らでかっこいい姿を見せられるよう努力して、その後を追ってきてくれるような若手の就農者が、のうみんずの次を作ってくれたらなって思います。
僕らは平均して38歳ぐらいなんですよ。
だからのうみんずに入ってほしいんじゃなくて、20代の若手が仲間を作って、楽しく農業をやっていってほしい。
川崎
僕らの上にも、農業者のグループがあったんですよ。
「野良道の会」そして「箱根ファーマーズカントリー」とか。それぞれ、三島の野菜を広める活動をしてくださっていて、僕らはその背中を見てきました。
だから僕らの次に続く若手グループがあったらいいなぁと思っています。
「最後に、みなさんが三島でお気に入りの場所・モノ・コトを一つ教えて下さい。」
宮澤
やっぱり源兵衛川ですかね。
飲み屋街が続いているすぐ横にあんなにきれいな川が流れてるなんて、すごい。
川崎
小さい頃は源兵衛川でめっちゃ遊んでましたね〜。
宮澤
いやあ、大人になってもあの辺で飲んで、酔っ払って飛び込んじゃう。
……は嘘で、飛び込んでないけど落ちました(笑)
あっ、あとお店だったら東海苑かな!
川崎
確かに、かなり美味しいですよね!
小林
楽寿園もいいですよね。
子ども連れて遊びに行くのにいいんですよ。
すぐ連れていけるし、メリーゴーランドもあるしね。
3〜4歳の子ども連れていくにはちょうどいいですよ。
岩井
やっぱり、水と緑の美しさでしょうか。
源兵衛川や白滝公園は、見ていて気持ちがいいです。
それにね、三島は水がおいしいけれど、だからこそ野菜が美味しいんですよね。
前島
僕は、夜明けの畑から見る日が昇る瞬間かな……。
朝、早いんですよ。
夜明け前に畑について、だんだん明るくなってきて、音がまったくない中で富士山や駿河湾が浮かび上がってくる。
そして箱根山から日が昇る。最高です。
コーヒー飲みながらね。
なかなか他の人に見せられないけど、それこそツアーができたらいいかもしれない。
川崎
パッケージにしちゃいましょうか(笑)
内藤
いいね(笑)ほかにもね、夜景が好きなんですよ。
国道1号線降りてくると、一瞬視界がバーっと開けるところがあるんです。
そこを通ると毎回心から「きれいだなぁ」って思いますね。
人生のあちこちで見た夜空の中で一番キレイだと思う。
あとは畑で見る冬の夜空。
街灯もなにもないところで見る星空はすばらしい。
寒いですけど(笑)
素晴らしいお話、ありがとうございました。
箱根西麓のうみんず(はこねせいろく のうみんず)
2015年に結成された農家集団。
これまで若手生産者として箱根西麓三島野菜をPRしてきたのうみんずは今年で結成10年。
次の10年は「地域農業をデザインするプロデューサー」として地域振興を図る予定。
今まで継続してきた「のうみんずの食べようWEEK」、「mishima vege marche」を発展させ、食・農を主軸に人と地域の関係を耕していく。
のうみんずが育てるのは作物だけではなく、未来の関係性である。
【のうみんずメンバー】栽培品目を教えてもらいました
岩井良太さん
カラフルじゃがいも、リーキ、トレビス、カラフル大根など。
川崎耕平さん
葉生姜(ヤマツ葉しょうが)秋:ミニ白菜、冬:ほうれん草、春:ロメインレタス。
トレビスというイタリア野菜を栽培テスト中。
小林宏敏さん
ミニトマトの7品目ぐらいをまとめて、カラフルトマトとして出荷。
内藤和也さん
根菜類で、三島馬鈴薯、大根、人参など。
あとはメロンとか水かけ菜、そして経営の一番の柱になっているのは春の七草。
前島弘和さん
冬:レタス、夏:とうもろこしと葉生姜。この3つがメイン。
2025年8月まで10年間のうみんず代表を務めた。
宮澤竜司さん
現・のうみんず代表。
根菜類中心。大根、人参、キャベツと三島馬鈴薯など。
五十音順