神田輝和:OASTBLUE ユニークな人が集まり、それぞれ場を持ち、つながること。それが三島のサードプレイスかも 2024.06.26 Post Share RSS Pin it 三島をもっと盛り上げたい 恩返しをしたい 僕は三島生まれで高校まで三島で暮らしました。大学を出て就職したのは静岡銀行。企業の経営サポートのような業務や人事統括の仕事を行っていました。子どもの頃からの先輩で、コンセプトアートの第一人者である澤井富士彦を中心に同郷の友人たちが立ち上げた株式会社WACHAJACK経営に参画。さらに「三島の役に立ちたい、貢献したい」という思いでWACHAJACKの静岡支社を立ち上げたのち、もっと深く三島や静岡全体の企業や社会の貢献に特化すべく2023年に株式会社OASTBLUEを設立しました。静岡銀行とは今も縁が続き、採用関係の仕事を行っています。三島が元気であり続けるには、人材がいなきゃならない。でもこの少子化の時代、人を確保する競争はますます激しくなります。だったら、三島の若者たちに地元愛を持ってもらい、これからの担い手になってもらいたい、そのために力を尽くしたいと思いました。三島の子どもたちは大学進学などで市内を出ると、戻ってこないことがほとんどです。僕はもっと三島を元気にしたいし、素晴らしい場所であり続けてほしいので、非営利で若者にシビックプライドを持ってもらうような活動をする傍ら、本業ではWACHAJACKが得意とするコンセプトアートの技法を絡めて、三島市や静岡全体の企業をもっとカッコよく、若者たちが「働きたい!」と思うような会社になるようなお手伝いをして、若者が三島に戻ってくる下地をつくっています。 映画制作を通して若者が改めて知る三島への愛をシビックプライドへ そのためには若者自身が三島に想いを持つことが大切。そこで始めたのが三島映画制作ワークショップです。第1回目は2022年にスタートしました。若者たち13名が参加してプロの映画スタッフ指導のもと、まったくの素人の若者たちが照明、録音、撮影、制作のすべてを担当。監督は三島出身の藤森圭太郎氏です。三島ってなぜか、みんなが口を揃えて「ちょうどいい場所」というように、突出した魅力が見えにくい場所なんですよね。でも、みんなの胸の中には、必ず三島への愛があるはずで、それを三島を舞台にした映画を作ることで再確認してもらいたいと思ったんです。第1回目のワークショップで制作した作品『しゃぎり』は2022年に完成、6月に三島市民文化会館で満員の中上映されました。さらに短編映画の国際映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア2023」ではジャパン部門で入選、ドイツで開催される日本映画祭「Nippon Connection」でも入選するなど、世界も認める作品となったのです。「普段生活していると見えなかった三島の良さが、脚本づくりや撮影をする中で気づけてきました。将来どんな仕事をするか分からないけど、地元の魅力を誰かに伝える仕事をしたい」これは、参加してくれた三島市の学生の言葉です。うれしかったですね。しかも、撮影チームに参加した学生がその経験を経て、カメラマンの道に進んだりもしたんですよ。2回目のワークショップにはスタッフとして参加してくれました。第2回となる今回は、三島市の中学2年生の書いたプロットが脚本となりました。『川面に聴く』というタイトルです。2024年8月の三島市民文化会館での上映を皮切りに、世界中の映画祭での上映を目指します。今後も、この映画制作ワークショップと上映会が、三嶋大社の祭りと一緒に街の風物詩になっていったらいいなと思っています。 おもしろい人だらけの三島。それぞれ持つ場がサードプレイスになる 三島のおもしろさってやっぱり“人”だと思う。サードプレイスも「こういう場所をつくりましょう」といって誕生するんじゃなくて、おもしろい人がそれぞれおもしろい場を持っていて、それがサードプレイスになるってイメージ。映画制作ワークショップでいえば、これによって出会うはずがなかった中学生から高校生、専門学校生から大学生が縦につながったし、映画のプロの世界に触れることもできました。これがまさに彼らにとってもサードプレイスで、そういう「やってみよう」と声を上げて動く人がいっぱいいるから、あっちこっちに魅力的なサードプレイスがある、それが三島の良さだと思うんですよ。WACHAJACKにしてもそのグループ会社にしても、世界に通用するスキルの人材がいて、通常ならなかなかコミュニケートできる機会がないけれど、僕らの「なにかやってやろう」という動きに巻き込まれれば間近で本物の技を見て、一緒になにかすることさえできる。そんな動きがあちこちにある、三島っておもしろい人を呼ぶ地場がありますね。 【ひとこと】第2回三島映画制作ワークショップは多くの方のご協力のもと、無事に上映会を終えました。第3回も行う予定でいます。興味のある学生のみなさん、ぜひ参加してください。物語を創る中で見つめる三島は、いつもよりちょっとドラマチックに映ると思います。 【あなたにとって三島はどんな場所?】きれいな水が街の中を流れていて、自然と生活の融和がバランスよく取れているコンパクトシティ。 【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】やっぱり「人」ですね。なぜか、おもしろい人がやたら集まっている街です。あと個人店の美味しいお店が多いですね。おもしろいのは、そういうお店の人が「あそこの店は美味しいから行ってみたら」と、別の店をおすすめするんです。鰻屋さんが別の鰻屋さんを「うまいよ」って紹介したりとか。ほかの場所ではあんまりないことで素敵だと思います。 【サードプレイス利用者へひとこと】三島映画制作ワークショップはこれからも毎年行い、文化にしたい。三島の風物詩にしていきたいですね。若い子たちには、ガチのプロと触れ合えるこのワークショップにぜひ参加してほしいです。 神田輝和(かんだ・てるかず)三島市出身。大学卒業後、静岡銀行に入行、企業の立ち上げ支援業務などを経て人事開発グループへ。その後、三島市出身で深い交流がある仲間たちのコンセプトアート、CG、映像、メディアに関する会社(株式会社WACHAJACK)の経営に参画。三島市及び静岡への恩返しをしたいとWACHAJACK静岡支社設立、2023年より三島や静岡の活性化に特化するため株式会社OASTBLUEを立ち上げ代表取締役となる。手段に捉われないアイデアを武器に、静岡県内の企業のブランディングや採用戦略を手掛け、地元の若者が入社したい会社になるように力を尽くす一方で、県内の若者たちのシビックプライド醸成のために「三島映画制作ワークショップ」を開催。 Post Share Pin it サードプレイスとしての三島と企業・ひとをつなぐ移住を考えるなら話を聞きに来てください 前の記事 「他楽(ほからく)」の精神で、三島に貢献できるホテル事業を展開したい 次の記事