新井一平:6curry & sauna 美味しいカレーを食べに来て、サウナに入って、気がついたら仲間ができた。6curry & Saunaはそんな場所。 2024.07.01 Post Share RSS Pin it カレーとコミュニティをつなげるまでの道のり 地域の文化やものづくりに興味を抱いたのは、コンサルティング会社で勤務していたときでした。コンサルの仕事で、しょっちゅう地方へ出張するようになったんです。せっかくあちこちの地方に行くのに、仕事だけして帰るのはもったいない。自費で延泊して、その地域の文化を受け継ぐような仕事をしている人――農家さんや陶芸家さんなどにアポ無し訪問するなどして、いろいろお話を聞かせてもらっていました。 愛知県の瀬戸で、カレー皿を専門で作っている陶芸家さん(今は超有名な陶芸家になられています)とお会いしたことがきっかけで、このお皿でカレーを食べるイベントをやったらどうかな? と考え、併せて今まであちこちで出会った農家さんの野菜も集めてイベントをやったんです。作り手さんたちの思いを知ってもらって、都会の人たちが何かを買うときに、選ぶ基準の1つにしてもらえたらという思いがありました。 カレーで人と人をつなぐ サードコミュニティ「6curry」の挑戦 その後、山形で同じようなイベントをやったときに、その地で自然栽培をやっている農家さんのYouTubeやInstagramでライブに参加させてもらったりしたことで、そのチャンネルを見ている全国の農家さんとつながって「うちでもやってよ」と声がかかるようになりました。そして、全国各地でカレーのイベントをやるようになったんです。 僕自身もカレーの追求を続け、2016年に「アマチュアカレーグランプリ」という大会でグランプリをいただいたりして、カレーの腕を磨いてきました。そして、カレー仲間に紹介されて「6curry」を一緒にやることになる高木新平氏と出会ったんです。 6curryは会員制・招待制で、ただカレーを食べるだけではなく、そこで出会いやコミュニケーションが起きて、サードプレイス的な居場所として機能することを目指していました。1店舗目は恵比寿で10席程度しかない狭い空間でやってましたが、2店舗目は渋谷でオープンし、会員数も累計2000人を超えました。店で出会った同士が趣味でつながる「部活動」も盛んでしたね。「1日店長」をやる権利もあって、そこで自分発のイベントもできるといった試みもしていました。 三島に「6curry & Sauna」誕生!新しいコミュニティ基地に 人は「いつか三島で6curryをやりたい」という思いがあって、一度LtG Startup Studioでポップアップイベントをやったことがあったんです。さらにその頃、静岡出身の人と結婚したこともあり、三島と東京、両方で店をやりたかったのですが、その時に新型コロナ感染が広まり始めて……。 社会情勢の変化、自分自身のパーソナルなターニングポイントもあり、高木氏やLtGを作った加和太建設の河田社長と話し合い、最終的に6curryの事業を加和太建設で受け取って、私が運営を行うことになりました。 店のコンセプトは変えず、招待制、会員制で出会いやコミュニティを生む場所としてやっています。東京の場合は会員が地方出身者で東京でのサードプレイスが欲しくて店に来る人が多かったですが、三島の場合は少し違いますね。三島には「6curry&Sauna」以外にも、地域の人たちとつながれるタッチポイントがいっぱいあるので、うちに来た時点で「三島に誰も知り合いがいなくて……」という人はあまりいないです。もう一段深いコミュニティを求めている感じですが、最初から「出会い! 友だち! コミュニティ!」と意気込んでくるというよりは、美味しいカレーを食べに来て、サウナに入って語らって、気がついたらゆるいつながりができていた……という形のほうが多いかもしれません。まずカレーありき、みたいな。 いずれにしてもカレーが軸になって仲間ができて、地域ともつながっていく、そんな化学反応が三島でも同じように起きています。 “&”をいろいろつくっていきたい 「6curry」の6は“六次の隔たり”という、あらゆる事象は6つのステップでつながれる、6人の友だちをたどれば世界中の人ともつながれるという仮説から取っています。三島ではこれに “&” として、サウナをくっつけています。これからも地域ならではのモノやコトをくっつけていきます。次は加和太建設のまちづくり事業室のチームと共に不動産事業も考えています。すでにトライアルで「&home」というコンセプトが始まっています。ほかにも、私の実家がある加屋町では、かつて両親がきなこを作る商売をしていたときの工場が残っています。その場所を使って、新たなコミュニティの場づくりができないかな? ということも河田社長と話したりしています。いずれにしても、これからもコミュニティをつくることが主眼になっていきます。 【ひとこと】「6curry&Sauna」は、土曜日だけ会員以外の人でも利用していただけるようになっています。興味ある方はまず土曜日にご来店ください。また、年内には、店のシステムもローカライズされた形にリニューアルする予定です。よりコミュニティの基点となり、三島のタッチポイントとなるような仕組みを構想中です。三島と三島のコミュニティを覗いてみたい方は、一度足を運んでみてください。 【あなたにとって三島はどんな場所?】みなさんいろんな感じ方をしてると思います。そこにいる人のおもしろさとか、空気とか……でも、僕にとっては地元なので、それらは馴染んだものなんですよね。だから言い換えると、一番落ち着ける場所であり、自分の素のままでいられる安心できる場所という感じですね。 【三島でのお気に入りの場所・モノ・コトは?】今、三島市外に住んでいるのですが、毎日、1時間半かけて「6curry&sauna」があるLtG Startup Studioに来ています。職場ではあるんですけど、LtGの雰囲気がとても好きですね。この空間に流れる空気にホッとします。三嶋大社をはじめとして、喧騒からちょっと離れられるというか、心が落ち着く場所なんですよね。 【サードプレイス利用者へひとこと】三島に来たばかりで居場所を探しているような方は、気負わずに「なんかおもしろそうな場所あるな」という気持ちで来てみてください。最初から「コミュニティが……」とか「サードプレイスが……」とか思わなくても、焚き火とかサウナとかもあるので、リラックスするつもりで来てもらって、そこで気持ちよく過ごしてください。気がついたら隣の人と意気投合、おもしろい何かが始まるかもしれませんよ。 新井一平(あらい・いっぺい)三島市出身。6curry & saunaを運営。大学在学中に起業、その後、コンサルティング会社勤務の際に全国各地に出張した折に、地域の農家や陶芸家などを訪れ、彼らのものづくりに対する思いを知ってもらいたいと、カレーと農産物や器のコラボ企画を開催。その後、全国でカレーを食べるイベントを開催。アマチュアカレーコンテストで優勝するなどして、NewPeaceの高木新平氏と、サードコミュニティの場としての招待制・会員制の「6curry Kitchen」を2018年恵比寿にオープン。2019年には渋谷にも店舗を開く。2023年、6curry 事業を加和太建設が継承するのに伴って、大社町のLtG Startup Studioに会員制「6curry & sauna」を開業。東京では八重洲で週1回「6curry & bar」をオープンしている。会員同士が趣味の活動を行う部活動なども盛ん。 6curry & Sauna〒411-0853静岡県三島市大社町18-52 LtG Startup Studio内(JR三島駅から徒歩15分)駐車場:なしOPEN: 火曜~金曜17:30 – 22:30(22:00 L.O)、土曜 16:30 – 21:30(21-:00 L.O)※非会員は土曜のみ利用可能会員登録は招待制 Post Share Pin it 三島が気になったらぜひ“みらけん”へ 三島をもっと好きにさせる自信があります! 前の記事 “日本で一番チャレンジできるまち・三島” からスタートアップが生まれる道筋をつくる 次の記事